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その間、金融も不動産も劇的な変化を遂げて参りました。中でも、経済基盤ともいえるその2つの業界が、それまで以上に緊密になったことが特徴と言えます。長く続く低迷を打破するために導入された不動産証券化や不動産ファンドといった投資手法の発展により、わずか5年ほどの間に不動産市場は急激に過熱することになりました。それほどの短い間に、新興不動産会社が財閥系不動産会社の地位を脅かすまでになったのです。
しかしながら、そのわずか後に不動産市場は反転し、そして急激に悪化して行きました。バブル崩壊の再発を防ごうという規制強化に始まり、資金調達環境が悪化し、とどめが世界金融危機の発生でした。不動産価格は大きく下落し、不動産ファンドを活用した大型の売買取引は激減、J-REIT投資口価格は下落の一途を辿り、ついには負債総額1000億円を超すような大型破綻が相次ぎました。
2011年には、世界金融危機から徐々に回復の兆しが見えつつあった不動産市場を、東日本大震災が直撃しました。地震リスクに大きなショックを受けた国内・海外投資家の意欲が一気に落ち込んだのは記憶に新しいところです。そして現在は、不動産市場は大きく回復しています。世界的な資金余剰、アベノミクスによる経済回復の兆し、そして不動産利回りと金利の乖離(「イールド・ギャップ」)の比類なき大きさを主因として、世界中の資金が日本の不動産に流れ込んでいます。
20年弱という期間におけるこのような激しい変化は、恐らく今後も避けることができない不動産市場の宿命と言えるのではないかと私は思っています。
このような激しい変化の中であっても、多くの不動産会社が成長を遂げたことも事実です。このような企業は、マクロの影響を受けない健全な財務体質、無茶のない長期安定的な成長計画、あるいは多様化したビジネスモデルを重視していました。また、誠実さを大切にしたお客様との関係作り、コンプライアンスの充実、あるいは透明性の向上などによって、不動産業界を「信頼される業界」に変革しようという高邁な思想を持っていました。そして、投資家から高い支持と信頼を得る洗練された不動産商品の育成など、技術的な進歩も図っていたのです。
これらの成長の理由は、並べて記載するととても美しく見えます。しかし、よく考えてみると、ごく普通の人間の良心から溢れて来るはずの当たり前のことと私には感じられるのです。不動産価格が上がることを前提にした安易なビジネスモデル構築、自社だけの利益を優先する身勝手な目的追求、あるいは常識を超えた成長の達成のための社会ルールからの逸脱などは、誰からも求められていないのです。
重要な社会のファンダメンタルズの一つである不動産業界を、信頼される誇り高いものへ発展させることが株式会社ビーロットの目的です。ごく普通の人間の良心から溢れて来るはずの思いを熱く胸に抱きつつ、社会から求められる企業として利益の追求と長期継続的な成長を目指して参ります。そのために、今後も激しい変化が見込まれる市場にて常にプロとしての見識・判断力・創造力を発揮できるよう自己研鑽に励みます。その過程でビジネス機会は無限に広がっています。そして、結果的に日本や世界の経済の発展にも、ほんの少しは好影響を与えると確信しています。
何よりも、役職員一同、誇り高く思える仕事を心の底から楽しんで参る所存です。
平成25年9月2日
株式会社ビーロット
代表取締役社長 宮内 誠